”オイルは髪に良い”
ここ数年特に、様々なメーカー、ブランドからヘアオイルが販売されるようになり、昔に比べると髪にオイルを使用する方も増えたように感じます。
「〇〇オイル配合」と表記された商品も多く見かけるようになりましたね。
オイルと言えば髪の保湿として使用する場合が殆どでしょうが、実は地肌に塗って、ヘッドマッサージにも使用できます。
オイルヘッドマッサージを始めるようになって、抜け毛が減った、髪のボリュームが戻ってきたというお声もよくいただきます。こりほぐしや頭痛の軽減、リフトアップだけでなく、毛穴に詰まった汚れを浮かしながら血流を改善するため、抜け毛や薄毛の予防改善にもつながるのですね。
とても高価な既製品のオイルも販売されていますが、実はこれを知るだけで、とても質の良い万能なオイルを簡単に自分で作る(混ぜるだけ!)ことだってできるんです!
「でも、何をポイントに選べば良いの?」「興味はあるけれどよく分からない」「キャリアオイル(植物オイル)とエッセンシャルオイル(精油)の違いって何?」
そのような、よくいただくご質問を中心に、キャリアオイルについて解説をします。
Contents
1.植物油「キャリアオイル」とは?
植物油と聞いて思い浮かべる油はありますか?
きっと、ごま油やオリーブオイルでしたら皆さんご存知でしょう。しかしこれは食用ですので、肌や髪への使用は避け、アロマショップやドラッグストアなどで購入できる専用のオイルを使用します。
ヘッドスパサロンや、アロマのリラクゼーションサロンでオイルマッサージを受けた経験はありますか?そのような場所でよく使用されているのも、この植物油がベースです。
植物油とはその名の通り、植物から抽出された天然の油で、他にも様々な呼び名があります。
植物油、植物オイル、キャリアオイル、キャリーオイル、ベースオイルなどと言いますが、呼び名が違うだけでどれも同じものを指します。(※以下ここではキャリアオイルと表記します。)
キャリアオイルとは英語の「carrier=運ぶもの」からきており、精油(アロマテラピーで使用する香りのもと)を肌へ運び浸透させる役割を持つため、キャリーオイル、キャリアオイルなどと呼ばれます。
アーモンドやマカデミアナッツ、ブドウなどの種子から圧搾法で抽出され、ビタミンやミネラル、必須脂肪酸などの有効成分が多く含まれます。
精油を混ぜなくても、キャリアオイル単体で肌や髪に良い働きをするものも沢山あるため、赤ちゃんから大人までデイリーに安心して手軽に使えるものです。
但し、オイルにより性質が様々です。肌質や目的に合わせ、ご自身に合ったものを選びましょう。
キャリアオイルとエッセンシャルオイルの違い
アロマテラピーで使用する、いわゆる”良い香り”のもとになっているのが精油(エッセンシャルオイル)。
花や葉、種子、果皮、樹皮などから抽出され、その中で精油の原料となる植物は約200種あります。
それらの植物から抽出された、揮発性の高い芳香物質が精油、またはエッセンシャルオイルと言われるものです。
一つの精油には数十から百数十もの芳香成分が含まれ、身心に様々な働きかけをします。
しかしながら、精油は有効成分が凝縮されているため、原液を直接肌につけるには刺激が強すぎます。
そのため通常は、キャリアオイルで薄めてヘッドマッサージやボディトリートメントに使用します。
キャリアオイルにより、効率よく頭髪や身体に有効成分を浸透させることができる他、滑りが良いのでマッサージがしやすくなります。
キャリアオイルは単体で、マッサージオイルとしてそのまま直接肌につけることができます。しかし、香りは無臭~オイル独特の香りを持つものまで様々です。
ハーブの香りづけをしたい場合や、精油の効能を取り入れてマッサージをしたい場合は、キャリアオイルに精油を混ぜて使用しましょう。
キャリアオイルを購入前に知っておきたいこと
キャリアオイルには、精製されたものと未精製のものが販売されています。
精製されているものは、オイル独特の香りや色などが引かれた分、サラサラとした印象で使いやすいものが多いです。精油の香りを引き立てたい時にも良いでしょう。
未精製のキャリアオイルは栄養がより豊富です。種類によって、ほぼ無臭に近いオイルも沢山ありますので、香りが気になる場合はそのような種類を選ぶと良いでしょう。
精油の使用期限は、殆どの種類が開封後から約1年。柑橘系は半年程度です。
それに比べ、キャリアオイルは更に酸化が早く、使用期限は種類によって異なります。開封後2週間程度のものもあれば、半年程のものもあります。
また同じ植物のオイルでも、メーカーによって使用期限が違いますので、パッケージを確認したうえで購入することも大切です。
使用感や目的に合わせた作用を持つキャリアオイルを選びますが、同時に使用期限を確認し、使い切れる量のものを購入しましょう。大量の買い置きはあまりおすすめできません。
酸化したオイルの使用は肌にとって良くありません。このオイル、いつ空けたっけ?なんていう古いオイルは使わないように。香りが変化していると感じたら、使用を控えることも大切です。
2.キャリアオイルを選ぼう
キャリアオイルには、植物から触接搾って採る圧搾法や、ハーブをキャリアオイルに浸し、有効成分を浸出させた浸出油などがあります。
どちらも使用方法としては変わりありませんが、肌質やご自身の目的に合わせたオイルを選びます。
キャリアオイルにも沢山の種類がありますが、ありすぎて何を選べば良いのか…と分からなくなることも。
ここではオイル初心者の方でも使いやすい、また多くのメーカーが販売しており、比較的手に入りやすいものを中心にご紹介します。
スイート・アーモンドオイル
スイート・アーモンドの種子から採れるオイル。ビタミンやオレイン酸など豊富な栄養素を含みます。
香りは、ほのかにアーモンドの香ばしさがある程度。肌を柔らかくすると言われ、滑りも良くマッサージ向きです。
乾燥による痒みなどにも良いでしょう。
リラクゼーションサロンなどで最も頻繁に使われるオイル。
ホホバオイル
一般的にはオイルの仲間とされていますが、成分的には植物の液体のワックスで、別名「ホホバワックス」と言います。そのため低温になると凝固しますが、手のひらにのせると体温で溶け、液体に戻ります。湯せんにかけても劣化しません。
高い抗酸化作用をもち、他のオイルに比べると、開封後も長持ち。紫外線から肌を守ると言われ、夏にも使いやすいオイルです。(日焼け止めではありません)
全ての肌タイプに合い、さらりとした使用感で、マッサージにも向くオイルです。
精製されたものは無臭で、未精製のものはほのかに香りがします。
マカデミアナッツオイル
マカデミアナッツオイルの一番の特徴は、加齢によって失うパルミトレイン酸を含んでいること。これは、人間の皮脂と共通する成分で、肌への浸透性に優れます。
軽くサラッとした使い心地で肌になじみます。ほのかにマカデミアナッツの香り。
こちらのオイルもホホバ同様、紫外線から肌を守るのに適しています。
グレープシードオイル
さっぱりしたオイルと言えばこれ。オイルがスーッとよく広がり、広範囲のマッサージにも使用しやすいオイルです。
ワインを製造した後に残るブドウの種子を原料とし、ワインの副産物ともいえるオイルです。
お肌や頭皮のクレンジングとしても使いやすいオイル。保湿をしたいけれどべたつきが苦手という方にも向いているでしょう。
香りはほぼ無臭。
セサミオイル
アーユルヴェーダでも使用されるオイル、ゴマ油です。
身体を温め、コリを緩和すると言われます。ビタミンEやミネラルを豊富に含むオイル。
料理に用いるアメ色のゴマ油は、ゴマを焙煎してから圧搾したものなので香ばしい香りがします。
マッサージをする場合は、アロマショップなどで販売されている専用のものか、香りが弱く色の薄い「純正」と表記のあるゴマ油を選びましょう。
アロマショップなどで販売されているセサミオイルも無臭ではありませんが、ほのかに香ばしい香りがする程度です。
オリーブオイル
栄養価の高さは食用として有名ですが、実は肌や髪にもさまざまな働きがあり、美容目的にもよく使用されるオイルです。
ヘアトリートメントとしても使用でき、髪の保湿に良いでしょう。
但し食用のものではなく、アロマショップやドラッグストアで購入したものを使用しましょう。
オリーブオイルは多くの方がご存知の、果実特有の香りがします。
アルガンオイル
アルガンの実の種子(仁)から採れる希少価値の高いオイル。
肌や髪に必要な脂肪酸を豊富に含み、オリーブの約2倍以上のビタミンEも含みます。
高い抗酸化作用も持ち、肌や髪の万能オイルと言われるだけあり、乾燥が気になる方には特に良いでしょう。
ただし、敏感肌の方はパッチテストをおすすめいたします。
香りはほぼ無臭です。
3.オリジナルのマッサージオイルを作ろう!
ご自身の頭皮ケアに、またお顔や身体のマッサージや保湿に、オリジナルのマッサージオイルを作ってみませんか?
毎日のケアに使用するものなので、ポイントは”簡単に作れて続けることができる”こと。
注意事項を確認したうえで、安全に心地良いケア楽しみましょう。
①キャリアオイルのみで作る
まずはご自身に合うキャリアオイルを選びます。
単体の場合はそのまま使用するだけですが、好きなキャリアオイルを2~3種選び、それらを混ぜてオリジナルのオイルを作ることもできます。
それぞれの配合は自由ですが、酸化しにくいキャリアオイルをブレンドすることによって、オイルそのものを長持ちさせることができます。
購入の際には、開封後の使用期限を確認し、使い切れる量をブレンドしましょう。
市販のブレンドされたマッサージオイルの、パッケージ裏の成分表を参考にするのも良いですね。複数のキャリアオイルがブレンドされていることが多いですよ。
精油をブレンドしないキャリアオイルのみでしたら、赤ちゃんや妊娠中の方でも使用可能です。
②精油を混ぜてアロママッサージオイルを作る
マッサージオイルに香りをつけたい場合は精油をブレンドします。
使用したいキャリアオイルを選んだら、次は精油選び。効果効能を知ることも大切ですが、ご自身が心地良いと感じる、好きな香りを選ぶこともポイントです。
精油をいれる場合、安全のためにその配合の割合が決まっています。
精油1滴(約0.05ml)で計算をした場合、キャリアオイルと精油の分量は下記の通りです。
※下記の濃度は、成人のマッサージオイル用です。
ボディ用やヘッド用のオイルを作る
<精油の濃度は1%以下>
5mlのキャリアオイルに対し、精油1滴をいれ混ぜます。
例>50mlのマッサージオイルを作る場合には、キャリアオイル50mlに精油を10滴以内。
※敏感肌の方は、下記のフェイス用の割合で作りましょう。
フェイス用や敏感肌用のオイルを作る
<精油の濃度は0.5%以下>
10mlのキャリアオイルに対し、精油1滴をいれ混ぜます。
例>50mlのマッサージオイルを作る場合には、キャリアオイル50mlに精油を5滴以内。
4.オイルでヘッドマッサージ
キャリアオイルを用意できたら、早速ヘッドマッサージに使ってみましょう!
抜け毛が増えてきた時や、頭皮のニオイが気になる時、また地肌の色がくすんできた時、それらの予防として毎日のケアに、オイルで毛穴のクレンジングをします。
キャリアオイル(500円玉くらいの量)を手のひらにとり、地肌全体に伸ばします。
指の腹を使って円を描くようにマッサージをし、オイルを頭皮に馴染ませていきます。
マッサージをするタイミングはシャンプー前です。無理に力をいれず、オイルの滑りを利用して指を流し、気持ち良いと感じる強さで行いましょう。
まとめ
キャリアオイルとは、植物の種子から抽出された、有効成分を含むオイル。
様々な種類と特徴があり、髪や肌の調子を整えるのに一年中大活躍です。
抜け毛が気になる季節にも、キャリアオイルを使って手軽に毎日セルフケアができます。
ご自身の目的に合ったオイルを選び、時には精油をブレンドしたオリジナルオイルを作ったり。
植物の力を借りて、肌や髪に潤いの毎日を送りましょう。